色鉛筆で描かれた暖かみある絵! 読み応えある物語!
子どもも大人もピュアな気持ちにしてくれます!!
厳島神社がある宮島に生息する鹿は「神鹿(しんろく)」と呼ばれています。
日本三景のひとつである宮島を舞台に、もみじまんじゅうのおつかいに出た女の子と、
迷子の子鹿やいじわるなサルとのふれあい。心に残る小さな冒険をあなたに届けます。
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タイトル:しんろくともみじまんじゅう
ジャンル:絵本
作 :坂本 博
絵 :岩田里沙
出版社 :文芸社
発刊日 :2012年10月15日
判型 :A5上
ページ数:28
ISBN:978-4-286-12418-6
定価 :1,200円+税
クライマックスは日常の中に潜んでいます。どこをどう通ってきたのか、ふと見回すと、
それが自分にとって重要な岐路であ
ると気づいたとき、あなたはどうしますか?
多彩に絡む男女の綾……。心に染みる人間模様を4編収録。
◆ 背中の男
私は背中のミュージシャンにVサインを送った。
「売れ残ったら、あなたが引き取ってくれる?」
結婚を考えないわけじゃない。五年振りに遇った男友達……。その関係は
恋人以上、結婚未満……。相変わらず女は仕事に、男は音楽に執着する姿
がもどかしく展開しました。五年という歳月が二人を大人にし、理屈でも
なく、コジツケでもなく、ガムシャラに走るという行動が胸のつかえを取
り除いてくれました。男と女のフランクな関係を描いてみたい。
微笑ましい一作でした。
◆ バグな夜
雪の舞い散るクリスマス・イヴ。
仕事のトラブルと離婚の危機……。
男の元へ現れたのは雪の精だった。
「あの頃の、純粋なあなたに戻って」
閃きというのは突然やってきます。でもそれは微かで一瞬のことです……。
それを掴み取ったとき、人は窮地を抜け出せるのかも知れません。バグ探
しと離婚の危機という難題を、雪の精の助けによって切り抜ける男……。
それは、子供の頃の優しさがもたらした幻影だったのかも……。
でも、クリスマス・イヴです。こんな夜があってもいいじゃないですか!
夢を見させてくれる一作でした。
◆ ミッドナイト・ロジカル
冷たい風の中、陽介が千明を背後から包み込んだ。
「もう充分働いた。脳ミソが水分を欲しがってる」
いつの日か本当に、セナのように優秀な知能をもったコンピュータが現れ
るかも知れません。いや、既にどこかで開発され、世の中にデビューする
日を待っているのかも。知能、知恵、ユーモア、アイディア、感情……
等々をセールスポイントに様々な分野に進出していくのでしょうか?
ただ願わくば、創作の世界は遠慮してもらいたいものです(苦笑)。
あれこれ思いながらも、千明の愛の強さに吸い込まれる一作でした。
◆ 25時のメール
こうして24等分された時界を越えて、
1時間と制限された25時の交心は始まった。
今、背中に感じているのは温もりか不安か。
私の中の天秤は大きく揺れていた……。
今の自分を変えたいと思っている人は決して少なくないでしょう。新しい
出逢いを望む人も多いと思います。そして、電子メールの社会への浸透は
加速度的なものでした。この三つをベースに、意思表示やコミュニケーシ
ョンが苦手な有希が、自分自身から一歩踏み出す姿を描いてみました。メ
ールという手段がドキドキさせ、その内容にワクワク、ハラハラさせられ、
とにかく書いていてウキウキさせてくれる一作でした。
それぞれのクライマックスに直面した登場人物たちは、ユニークな人間模様を見せてくれ、
後悔することのない決断をしたのではないでしょうか。良くも悪くも、その後は未知数で
あっても、自分の納得できる道を選ぶのが一番だと……思います。
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タイトル:背中の男
ジャンル:小説
著 者 :坂本 博
出版社 :文芸社
発刊日 :2003年3月15日
ページ数:153
ISBN:4-8355-5307-1
定価 :1,000円+税